漆喰は一般にホルムアルデヒドや、VOC(トルエンなどの揮発性有機化合物)を吸着する性質があると言われています。
このことはブログなどでよく書かれているため、ご存じの方も多いかと思います。
しかし、メカニズムについては相当マニアックな方でない限り、知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、
- 「吸着ってなんとなくイメージつくけどよく分からない」と思っている建築設計事務所の営業の方
- 「なんで漆喰に吸着作用があるのだろうか?」と疑問に思っているマイホームを計画中のお父さん
- 「お客さんに漆喰を紹介するにあたり、ちょっと吸着する原理を知っておきたい」と思っているハウスメーカーのインテリアプランナーさん に向けて、イメージを中心にしながら漆喰の吸着メカニズムを説明していきますので、最後までお付き合いください。
ー吸着とは?
まず最初にそもそも吸着とは何かについて説明します。
Wikipediaには以下のように記載されています。
「吸着とは、物体の界面において、濃度が周囲よりも増加する現象のこと。」
なんだか難しいですよね。
漆喰壁(物体)と空気中にあるホルムアルデヒドを例にとると、下図のように漆喰壁の表面(界面)において、ホルムアルデヒドの濃度が大きくなる状態を示します。
それでは次に、どのようにして吸着が起こるのか説明していきます。
ー吸着の種類~物理吸着と化学吸着~
吸着は、大きく物理吸着と化学吸着に分かれます。
順番に説明していきます。
物理吸着とは、ホルムアルデヒドなどの吸着質と漆喰壁などの吸着材との間に働く弱い力によって、吸着材の表面に吸着質がくっつく現象のことを示します。
物理吸着には、以下の特徴があります。
- 吸着質そのものは変化しない
- 吸着材表面に非常に小さい溝(細孔)があると、たくさんの物質を物理吸着できる

一方で、化学吸着とは、ホルムアルデヒドなどの吸着質が吸着材表面と化学反応を伴って強くくっつく現象を示します。
化学吸着には、以下の特徴があります。 - 吸着質が反応して、違うものに変わってしまう
- 吸着質と吸着材の相性があり、吸着材と化学反応する吸着質とのみ化学吸着する

ここまでは吸着について説明してきました。
次は今回のメインである、「漆喰がなぜ吸着する性質があるのか」、漆喰の吸着メカニズムについて説明します。
ー漆喰の吸着メカニズム
漆喰の吸着メカニズムについて説明していきます。
ポイントは、「漆喰の表面に多くの溝がある」こと、「強いアルカリ(マイナス)の性質を持っている」ことです。
■漆喰は表面に多くの溝がある
漆喰は、塗った後乾燥する過程で、表面に多くの溝ができます。
先ほど述べたように、細かい溝が多いとより多くの物質を物理吸着できます。
漆喰は、VOC(トルエンなどの揮発性有機化合物)の低減効果がありますが、その原理は、この細かい溝にVOCを物理吸着しているためと考えられます。
■漆喰が強いアルカリ(マイナス)の性質を含んでいる
漆喰の主成分は、消石灰(水酸化カルシウム)です。
消石灰は非常に強いアルカリ(マイナス)の性質を持っています。
マイナスの性質を持つ物質とプラスの性質を持つ物質は、化学反応を起こすので、酸などのプラスの性質を持つ物質が漆喰によって化学吸着します。
漆喰は、腐った卵のにおいの成分である硫化水素や、ホルムアルデヒドの低減効果がありますが、これらは消石灰と化学吸着します。
硫化水素は、酸性(プラス)の性質を持つ水素があるので、消石灰の強いアルカリ(マイナス)と反応し、無臭な化合物になります。
ホルムアルデヒドについては少し複雑です。
まず、消石灰のカルシウムの作用で化学反応を起こし、右に記載の「2つのホルムアルデヒド反応後化合物」となります(下図ではこの過程は省略して記載しています)。
その化合物は、「ちょっとだけプラスの水素」を持っており、その水素と消石灰の強いアルカリが反応します。
更にホルムアルデヒドが反応していき、最終的には、無害な糖ができます。
ーまとめ
今回は吸着の種類や、なぜ漆喰に吸着する力があるのかを説明してきました。
■吸着には吸着する物質の性質を変えない物理吸着と、性質を変える化学吸着がある。
■物理吸着は、表面に小さな穴(細孔)があるとよく吸着する。
■化学吸着は、対象の物質と反応する性質があると吸着する。
■漆喰は、表面に多くの細かい穴があるため物理吸着の性質し、強いマイナスの性質を使ってプラスの性質があるものと化学吸着する。
目に見えない吸着の世界でどんなことが起こっているのか、少しでもイメージできるようになって頂ければ幸いです。



